7月25日の高校野球 山口

太田原奈都乃
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 山口大会は25日、山口マツダ西京(山口市)で準々決勝2試合があった。昨夏の県独自大会優勝の高川学園は山口県鴻城をコールドで下し、西京は九回に満塁本塁打が出て柳井を突き放した。27日に準決勝2試合が予定されている。

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 8対9。柳井が1点差まで追い上げて迎えた八回、西京の二塁走者が中飛でタッチアップし三塁を狙った。柳井の中堅手・田中稜也(りょうや)主将(3年)が、ベース上にストライクの返球。併殺でこのピンチを切り抜けた。ベンチから選手たちが歓声をあげて飛び出した。「こっからだぞ」

 目立つ選手がいるわけではない。新チームで臨んだ昨秋の県大会は1回戦で敗退した。今大会前にはエースが故障した。

 この日、西京に序盤から得点を重ねられた。だが練習試合でも同じ展開になることが多く「追い上げて、追いつけばいいだけ」と田中君。焦りはなかった。

 チームは「全員でつなぐ」野球を見せつけた。4点を追う三回、重盗を仕掛け、代走の野原颯介(さすけ)君(3年)が本塁へ飛び込んで1点。五回には自ら放った左中間適時三塁打などで、2点を加えた。さらに相手投手の制球が乱れた六回には5点を追加し、徐々に西京を追い詰めた。

 ただ九回表、満塁弾を浴び、勝利が遠のいた。

 「食らいつくしかない。次につなぎたい」。その裏、二死で打席に立った。外角低めのスライダーを何とか当てたが、打球は右翼手のグラブに収まった。

 13年ぶりベスト8の選手たちを、垰(たお)和宏監督は「粘り強くやろうやって言い続けてきた。柳井の強さが伝わった」とたたえた。「悔しい。すごく悔しい。でも全員が野球ができたって思えて、楽しかった」と田中君。涙を流す仲間の肩をたたいてまわるその目の奥が輝いていた。(太田原奈都乃)