第2回表彰台の抱擁、美談の意味 13年越しに尋ねた、ある射撃選手の言葉

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編集委員・稲垣康介
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射撃女子 ジョージア ニーノ・サルクワゼ(52)

 会って、お礼が言いたかった。

 射撃会場で私の目当ては女子エアピストルのニーノ・サルクワゼ(ジョージア)。五輪史に刻まれる美談の主人公の一人だ。

 物語は2008年北京五輪にさかのぼる。開会式当日、母国ジョージアとロシアとの間で軍事衝突が起きた。2日後、彼女は銅メダルを取った。2位はロシア選手だった。2人は表彰台で抱き合い、観衆から拍手が湧き上がった。

 サルクワゼは涙ぐみ、言った。「射撃という一見、戦争を連想させる競技でつながる私たちだけど、2人の友情には何も立ち入れない」。五輪に初出場した1988年ソウル大会は、ソ連代表で金、銀メダルを取っていた。心境は複雑だったはずだが、こう言った。「人が戦争を始めたのではない。政治家が始めたのです」。このとき、私は取材現場にいなかった。同僚から伝え聞いた言葉だった。

 だから、いつか、自分で聞きたいと思っていた。

 13年後のいま、やっと思い…

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