カラー、衛星…五輪と育ってきたテレビ 今回の目玉は?

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後藤洋平 宮田裕介
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 「テレビでみる五輪」が始まった。半世紀前の前回東京オリンピック(五輪)は初の衛星中継、国内カラー中継があり「テレビオリンピック」とまで言われたように、五輪は放送技術を向上させ、お茶の間への普及も促してきた。多難な今回の五輪では――?

「リベンジ」だった64年五輪

 64年五輪は、日本のテレビの歴史にとって大きな節目となった。

 開会式で行進する赤いジャケットと白いパンツの日本選手団を、NHKが導入したカラー放送機材が鮮やかに映し出した。スローモーション、小型カメラ、身につけるマイク……。様々な新技術が世に出た。

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1964年の五輪に向けて開発されたマイク。当時は帽子と一体型だった=東京都港区のNHK放送博物館

 開会式の瞬間最高視聴率はNHK、民放合わせて89・9%(ビデオ・リサーチ調べ)。カラーテレビを持つ人はまだ少なかったが、57年に7・8%だった白黒テレビの普及率は64年、87・8%に達した。

 64年五輪は、実はNHKにとって「リベンジ」でもあった。戦禍で幻になった40年東京五輪でもテレビ中継の準備を重ねていたが、披露できなかったからだ。

 NHK放送博物館(東京都港区)には、当時開催予定だった競技場のどの位置にカメラを置くかなどを記した詳細な資料も展示されている。同館の磯崎咲美学芸員は「だからこそ24年後の東京大会は相当な思いを持って臨んだのです」と語る。

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1964年の東京五輪で撮影に使用したカメラ=東京都港区のNHK放送博物館

 64年だけではない。五輪はテレビの進化を促し続けてきた。

 72年札幌冬季五輪は初めて全面カラー化し、カラーテレビの普及率はこの年に61・1%と初めて5割を超えた。98年長野冬季五輪では全競技をハイビジョン(2K)で中継。スケート競技などの滑走音を拾うため、完全防水の氷中マイクも登場した。

コロナ禍で奪われた貴重な機会

 もちろん今回もテレビの新技術を広く知らしめる好機だ。主役は超高精細映像の「4K」と「8K」。後者はハイビジョン同様、NHKが開発した技術だ。

 総務省は2014年から4K・8K展開に向けたロードマップを作成。18年12月には実用放送が始まり、今回の五輪では4K・8Kでの中継が多数放送されるほか、全国各地でパブリックビューイング(PV)が開かれ「多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K番組を楽しんでいる」と想定されていた。

 だが総務省によると、当初の予定通りには進んでいない。コロナ禍で五輪が延期され、経済は悪化し、4K8Kのコンテンツも想定より増えていないという。

 ある在京キー局の職員は「毎年のように番組制作費削減が指示され、最近はコストのかかる4K、8Kの番組企画案が激減した。テレビはいわば番組の大量生産工場。バラエティー主体だと高精細は不要だし、ドラマでもメイクなどが難しくなる事情もあるだろう」と明かす。

 何より、4K、8Kが威力を…

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