香港の日系企業、6割が「国安法に懸念」 事業に影響も

香港=奥寺淳
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 日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所などが26日、香港に進出している日系企業のビジネス環境に関する調査結果を発表した。昨年6月末に制定され、民主派議員らが多数逮捕された香港国家安全維持法国安法)について、56%が「大いに懸念」または「懸念」と回答。一部企業では現地従業員が香港を逃れるため移住し、人材流出の影響も出ているという。

 今回4~6月期の調査は香港の日本総領事館、香港日本人商工会議所と合同で行い、280社から回答を得た。国安法への懸念の理由として、約8割が「情報に制限がかかる恐れがある」と答えており、顧客などの個人情報が安全に保全できるかの不安もうかがえる。さらに約6割が「司法の独立が失われる恐れがある」ことを挙げた。

 香港はこれまで、公正な法治や司法の独立が世界の企業を引きつけてきた。しかし国安法の施行により、国の安全を理由にビジネス上のルールが変更されたり、中国に有利な司法判断が出たりしないかの心配が高まっているとみられる。

 実際のビジネスへの影響については、60%が現時点では「影響は生じていない」と答えた。ただ、「マイナスの影響が出ている」と答えた企業が15・5%で、前回1~3月期の2・4倍に。ジェトロ香港の高島大浩所長は「香港のイメージが悪化し、日本の本社から新規投資や増資、従業員の採用など事業拡大を抑制するよう指示が出ている会社もある」と話す。

 また、情報管理システムを別の地域に移転することを検討したり、資金の一部をシンガポールに移したりした会社もあったという。(香港=奥寺淳