慶応が敗退 前田智徳さんの息子が伝令「海でも行くか」

黒田陸離
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(26日、高校野球神奈川大会準決勝 横浜創学館5-2慶応)

 四回裏、先頭打者に四球を許したところで、慶応は背番号1の前田晃宏投手(3年)がマウンドに上がった。「またチームに勢いを持ってこよう」。走者を背負っての登板も、持ち味のモーションを変えながらの投球で、1人目を速球、3人目は変化球でそれぞれ見逃し三振を奪った。

 本来なら先発を任されるが、この試合を含め5試合の登板はいずれも救援。6月下旬に右ひざを負傷した影響で、森林貴彦監督が試合ごとに投球制限を設けた。「ここぞという場面で使う」という起用に応え、1回戦から6試合を勝ち上がる原動力になった。広島カープで2千安打を放った元プロ野球選手の父、前田智徳さんにも励まされ、マウンドに上がり続けた。

 そんなエースも、五回に横浜創学館打線につかまった。1点を失った後、さらに満塁で初球の外角低めの速球を右中間にはじき返された。「真っ向勝負で力負けした」。3人の走者をかえされた。六回には痛烈な投ゴロを捕った際に右ひざに痛みが走った。八回、先発の荒井駿也投手(3年)にマウンドを託した。

 だが慶応が掲げる「エンジョイベースボール」は貫いた。八回裏のピンチでは伝令としてマウンドへ。「勝っても負けても最後まで楽しんで、みんなで海でも行くか!」。内野陣は思わず笑みを浮かべた。試合後、仲間とともに涙を流したが「ノーシードから、桐蔭学園や桐光学園を破ることができて楽しかった」と胸を張った。(黒田陸離)