手錠と腰縄の被告の姿は当たり前? 日弁連が動画で異論

阿部峻介
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 手錠と腰縄をつけた姿を法廷でさらされないよう、裁判官は配慮して――。そんなメッセージを込めたドラマ仕立ての動画を、日本弁護士連合会が作ってユーチューブで公開している。「推定無罪」の原則にも悪い影響があるとして問題提起する内容だ。

「さらされたくない」との訴えがきっかけ

 刑事裁判を受ける被告の手錠と腰縄は、逃亡防止のために刑務官が装着させることができる。裁判の間は外さなければならないが、慣例で入退廷の時は装着したまま。その姿を傍聴人らに見られたくないとの理由で被告が出廷を拒んだ2014年の大阪地裁の裁判をきっかけに、弁護士らの間で疑問視する声が上がっていた。

 こうした動きを受け、大阪の弁護士たちが中心となり、劇団の協力を得て7分52秒の動画を作った。場面は、知人に借金を返すよう求めたら「脅した」として逮捕・起訴された被告の裁判。被告は法廷につながるドアの前で手錠・腰縄を外すよう刑務官に懇願する。受け入れられずに入廷し、傍聴席の娘に声をかけられて顔をそむける。初めて傍聴に来た男性は「まるで犬の散歩」「どうせ犯罪者や」と心の中でつぶやき、裁判官が解錠を指示する。

ついたて内で着脱の対策も、広がらず……

 作製した日弁連の「手錠・腰縄問題プロジェクトチーム」によると、法廷内についたてを置いて裁判官や傍聴人の目に触れずに着脱させたり、解錠後に傍聴人を入れたりする裁判所もあったが、広がりを見せていないという。

 動画に裁判官役で登場する日弁連人権擁護委員会の太田健義副委員長は「さらしもののような姿は誰も見られたくないし、家族も見たくない。心の痛みに配慮すべきだということをわかりやすく伝えたかった。裁判官は想像力を働かせ、対応してほしい」と話す。動画のタイトルは「この姿 見られたくない 見たくない」。アドレスはhttps://www.youtube.com/watch?v=tWUUxPftsZc別ウインドウで開きます(阿部峻介)