第2回国軍の弾圧映像、怒りと暴力に火 誰も口に出せないこと

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バンコク=福山亜希
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きしむ国家 ミャンマー政変半年②  デザイン・岩見梨絵
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 「我々のような僧侶でさえ、国軍と民主派のどちらにつくのか日々問われ、一方に同意すれば他方からたたかれる。こんな経験は初めてだ」。国軍のクーデター後にミャンマーで起きた社会の分断を、ヤンゴンの僧侶(35)はこう嘆く。

 国軍は2月のクーデターで権力を握ったが、市民は抗議デモや職場を放棄する「不服従運動」で抵抗。国軍側はこれに激しい武力弾圧で応じ、大規模なデモは姿を消した。

 だが、一部の市民の抵抗は別の形を取り始める。

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ヤンゴンで7月11日、抗議デモでミャンマー国軍の旗を燃やす参加者ら=AP

 アウンサンスーチー氏を支持する民主派が立ち上げた「統一政府」が、自衛のための組織「国民防衛隊」の設立を宣言すると、これに呼応する動きが加速。各地で市民らが独自に武装組織を発足させ、一部は国軍との武力衝突に発展した。

 簡単な武器しかもたない市民側に対し、国軍は大砲や空爆など圧倒的な火力で攻撃した。大勢の住民が巻き込まれ、家を追われて避難民となった。

 最近は兵士や警察官、国軍系政党の関係者、国軍側がクーデター後に任命した行政関係者らを狙った暗殺事件や、行政機関などを標的にした爆弾事件も各地で相次いでいる。

 第2の都市マンダレーでは14日、国軍側に任命された行政幹部の女性が市場で頭を撃たれて死亡した。地元市民らによる武装組織がSNSで犯行声明を発表。動画もアップされ、そこには至近距離で男に銃撃される女性の姿が映り、発砲音も2度聞こえた。

 事件の多くは、だれがやったのかはっきりしないままだが、国境地帯に拠点がある少数民族武装組織のもとで軍事訓練を受けた若者らが、地元に戻って関与しているとの指摘がある。

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ミャンマーのカヤー州で7月6日、市民による武装組織のメンバーらが軍事訓練に参加した=AFP時事

 標的は、不服従運動に加わらない公務員や、抵抗する市民の情報を国軍に密告したと疑われた人物にも広がっている。

「父は普通の人。一部のうそで不幸な死に方を」

 「亡くなった父の尊厳のために記す。父は退役軍人だが、誓って、軍に情報提供などしていない」

ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏らを拘束してから8月1日で半年になります。ミャンマーではいま、何が起きているのでしょうか。3回の連載でお伝えします。記事後半では、分断や暴力の連鎖によって混迷を深めるミャンマー社会を描きます。

 中部バゴーで何者かに殺害さ…

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連載きしむ国家 ミャンマー政変半年(全3回)

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