世界最大のゲンゴロウ、「孫」34匹 累代飼育に成功

岩城興
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 山梨県北杜市にある同市オオムラサキセンターで今夏、世界最大のゲンゴロウ、オウサマゲンゴロウモドキの2世代にわたる「累代飼育」に成功した。繁殖した個体同士を組み合わせ、卵から成虫まで育てた。初めて繁殖した昨年に比べ、4倍にあたる成虫34匹を羽化させた。

 「種の保存に寄与するのが、私たち昆虫館の使命。貢献できてうれしい」。飼育を担当する副館長冨樫和孝さん(29)は喜ぶ。今月上旬から展示公開している。

 同センターによると、オウサマゲンゴロウモドキは欧州北部を中心に生息する水生昆虫で、体長36~44ミリ。国内のゲンゴロウより一回り大きいが、羽が横に張り出し、より大きく見える。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、絶滅の恐れがある危急種に指定され、採集が禁じられている。

 2019年11月、ラトビアから、飼育研究のため特別に同センターを含め国内3館に輸入された。同センターでは成虫7匹を用いて繁殖を始め、昨夏は8匹の羽化にこぎつけた。

 今回は、うち雄2匹、雌4匹を繁殖に使い、3月上旬には水草の茎に産卵を確認。5月までに250匹もの幼虫が生まれた。一部の幼虫が地中でさなぎとなり、5月24日に最初の1匹が羽化。6月中旬までに雄16匹、雌18匹の計34匹が成虫になった。

 春の産卵前には北欧の自然環境に合わせ、水温を4度と低めに管理している。今年はその期間を前回より3倍の3カ月に延ばし、雌の腹で卵の成熟が進んだとみられるという。冨樫副館長は「数を一気に増やせ、安定繁殖に向けて弾みがついた。大きく前進した」と話している。

 残る問題は、幼虫のえさが限られること。イモムシのような形をしたトビケラの幼虫を食べるが、現在のところカクツツトビケラの仲間など特定のトビケラ3種類しか分かっていない。成虫になるには、えさ100匹以上が必要で、環境に負荷をかけないよう数十カ所で採取しているという。冨樫さんは「代わるえさを見つけられるかが、次のカギ」と話している。(岩城興)