成功も失敗も国籍を超えて分かち合う スケボーに見たスポーツの原点

有料会員記事スケートボード

荻原千明、岩佐友
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 “争う”空気がない。

 「(競技中)何聴いているの?」「ラスカルの曲を聴いてるよ」「それって、どんな歌?」

 13歳で金メダルに輝いた西矢椛(もみじ)と、銅メダルの16歳中山楓奈(ふうな)は、他の選手とともにそんな話をしていた。

 スケートボード女子ストリート決勝、勝負を決する演技のさなかに、だ。西矢は「普段の大会とそんなに変わらなかった」。オリンピック(五輪)の緊張感もなかった。

 西矢は5歳の時、2歳上の兄の影響でスケートボードを始めた。

 大阪府松原市のスポーツ施設で1日3~5時間。夢中になった。動画サイト「YouTube」や、SNS「インスタグラム」のトップ選手の映像を見て、その技をまねした。

 ストリートカルチャーとして広まった競技だ。SNSで、互いの技を見せ合い、気になることのアドバイスを送り合う。男子ストリートで金メダルの堀米雄斗(22)も米国で現地の選手とルームシェアをしながら練習に励んだ。

 「指導者」は基本的にいない。師弟や上下の関係もない。伝統競技とは違う、自由に楽しむ空気に魅力を感じる若者は多い。現在、全国での競技人口は10代前半から30代を中心に約2千人と推定されている。

 この日、会場の有明アーバンスポーツパークには、互いへの敬意ある場面が多く見られた。

 西矢や中山、銀メダルを獲得したブラジルのライッサ・レアウ(13)は互いの技が成功すると拍手を送り、転倒すれば、自分のことのように悔しがった。フィリピンのマルジエリーン・ディダル(22)は腕を痛めた西村碧莉(あおり)(19)を気遣い、声をかけた。年の差も国籍の違いも、感じさせなかった。

 競技の間、ずっと笑っていたことを問われて、西矢は「自然と」と答えた。母智実さん(39)は「単純に、めっちゃ楽しいんだと思います」と代弁した。

 仲間と遊ぶ。輪が広がる。東京五輪で新たに正式採用されたスケートボードには、そんな文化がある。日本史上最年少金メダリストらが見せた姿は、スポーツの原点と言えるものだった。(荻原千明、岩佐友)

メダルかかる試合中でも「何の曲聞いてるの?」

 東京オリンピック(五輪)で…

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