「米が買える」から最高の笑顔へ スケートボードが導いた東京への道

スケートボード

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 13歳の西矢椛(もみじ)が金、16歳の中山楓奈(ふうな)が銅と日本勢が大活躍したスケートボード女子ストリート。10代の選手が躍動する会場で、ひときわ笑顔をふりまき、仲間に大声援を送るアジアの選手がいた。

 7位に入賞したフィリピンのマルジエリーン・ディダル(22)だ。

 自分のトリックでは転倒が目立ったが、「私のスケートボード人生の中で最も悪いものでもない。この場所でほかのすべての女子選手と過ごす瞬間を楽しむことができた」。

 ほかの選手をハグしたり、応援したりする理由は「それがスケートボードだよ」と笑った。

 フィリピンのセブ島出身。大工と露天商の両親のもとで生まれ育ち、12歳の時にスケボーに出会った。

 「最初にやった印象は体が浮いているようで、スーパークールだった。教えてもらった日にいくつかのトリックを覚えた」という。道路やショッピングモールで技を磨き、時には警察官や警備員に追いかけられた。

 最初は楽しみで始めたが、小さな大会で賞金を稼げるようになり、気づいた。貧しい家計を支えられる、と。思ったのは「これでコメが買える」だった。

 徐々に力をつけて、2018年アジア大会で金メダルを獲得するなど実績を積んでいった。18年にはTIME誌の最も影響力のある10代に選ばれたほど。フィリピンのストリートシーンを代表する人物になった。

 スケボーが初めて五輪競技になった東京大会。自分は表彰台に立てなかったが、最後まで最高の笑顔のままで言った。

 「すべての少年少女にスケボーを始めてほしい。ただ滑って楽しんで。でも、けがをしないように防具はつけてね」