岩手で「黄金のウニ」計画 二期作で太らせる、ずらす

大西英正
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 岩手県内でウニの「二期作」が進行中だ。近年はエサになる海藻類が少なくなる「磯焼け」が起き、やせたウニが増えている。別の場所に移してエサを与えることで、身入りの良い状態にしたうえ、出荷のタイミングをずらして収益を図るアイデアだ。

 大船渡市の綾里漁港で6月中旬、地元のダイバーが沖合で約5800個のウニをとり、1・5キロほど離れた蓄養池に運んだ。

 池は深さ約2メートルで、広さ約500平方メートル。夏場に繁殖するのを防ぐため、LED照明で常に明るい状態を保っており、海藻のほか、キャベツなどの野菜を与えて育てる。

 ウニの生息数は近年増加傾向にある。県水産技術センターの調べでは、県内の漁獲量の多くを占めるキタムラサキウニの2019年の個体数密度は、14年と比べて沿岸北部2・6倍、中部1・5倍、南部4・7倍と大きく増えている。

 県漁連によると、今年の漁獲量は6月末までで、県内5地区の漁場で計40トンを超えた。前年同期比で1・86倍だ。

 増加は温暖化が一因とされ、増えすぎたウニが、コンブやワカメを食べ尽くして磯焼けが進行。エサ不足になったウニは身入りが悪くなり、「やせウニ」が増えているという。

 さらに、ウニは旬の夏を過ぎると食べられる部分がなくなり、これまで廃棄されてきた。

 そのため県は昨年度から、「黄金のウニ収益力向上推進事業」をスタート。沖合にいるウニを間引いて身入りをよくするとともに、間引いたウニを岸の近くや蓄養池で育て、年末など需要が高まる時期に販売する計画だ。

 県は今後、蓄養にかかるコストを調べるほか、冬季に販売する際の味や身入りを確認し、収益をどの程度得られるか分析する。

 県水産振興課の野沢清志・担当課長は「サケやアワビなど主力水産物が軒並み不漁に陥っている。ウニの二期作によって貴重な資源を有効に使い、漁業者の収入アップにつなげたい」と話した。(大西英正)