常総学院の二枚看板 「頼むよ」、助け合って投げ抜いた

西崎啓太朗、伊藤良渓
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(26日、高校野球茨城大会決勝 鹿島学園3-2常総学院)

 「大川、頼むよ」。五回表、常総学院の背番号10、秋本璃空(りく)君(3年)がマウンドを後にした。ボールを高く上げて、エースの大川慈英(じぇい)君(3年)に引き継いだ。

 2人は、常総学院の二枚看板と呼ばれた。制球力と球威を兼ね備えた秋本君と、細身から繰り出す140キロ台後半の速球が魅力の大川君。しのぎを削るライバルでもあり、助け合う仲間。ピンチがくるといつも、2人の継投で切り抜けてきた。

 春の選抜大会までは秋本君がエースだった。甲子園では2試合とも先発した。

 背番号の10と1は、今春の県大会で入れ替わった。けがなどによる秋本君の不調が続いたためだ。

 悔しい思いはあったが、「お互いにエースを経験できる」と前向きにとらえた。「どうしても大川に助けてもらわなければいけないときもある。どっちかがダメなら、どっちかが助ける。それが二枚看板」。秋本君はそう語っていた。

 試合の時は、ピンチのたびに「お前がエースだ」と声をかけ続けた。マウンド上で、大川君をひとりにしないように。自分が守る一塁から。ベンチから。

 この日は秋本君が先発。立ち上がりが安定せず、初回に3失点してしまった。コースを狙いすぎたことがあだになった。だが二回以降は打たせて取る投球で被安打2に抑えた。

 チームは秋本君の適時打で1点差に迫ったが、敗れた。自分のせいで負けたと思った。

 「秋本がいたから、ここまで成長できた」。試合後、大川君は話した。「ごめん」。秋本君はそう伝えるしかなかった。

 でもこれだけは言える。お互いに「自分がエース」という気持ちでマウンドに立ち続けたんだ。(西崎啓太朗、伊藤良渓)