捕手始めたのは2月から 優勝の阿南光、冷静プレー光る

吉田博行
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(26日、高校野球徳島大会決勝 阿南光3-2生光学園)

 「バックを信じて思い切り投げてこい!」

 初回、阿南光の捕手・岡川涼弥君(3年)はマウンドに何度も駆け寄り、森山暁生君(2年)に声をかけ続けた。ここまで3試合を1人で投げ抜いてきた後輩エースは、連投の疲れで腕の振りがやや縮こまり、「いつもは重い球が軽く感じた」。

 結局2点を先制されたが、その裏2死一、三塁の好機で打席が回ってきた。「絶対に返してやる」。初球の真っすぐを振り抜いた。打球は左前に。ベンチが歓喜に包まれる中、一塁ベース上でニコリともしなかった。「まだ1点負けている。油断せずにいこう」

 二回表の守備では、冷静なプレーでチームを助ける。2死三塁。走者が本盗を決めようと、突然突っ込んできた。素早く気づき、森山君に本塁へ投げさせタッチアウトに。「横目でしっかりと動きを捉えて対応した」

 三回裏の攻撃では、再びバットで後輩エースをもり立てた。2死一、二塁のチャンス。やや高めの直球を右前にはじき返した。序盤で同点に追いつき、森山君も落ち着きを取り戻すことができた。

 岡川君は以前は三塁手だったが、捕球から送球までの素早さを見込まれ、中山寿人監督から「キャッチャーをやってみないか」と持ちかけられ、今年2月に捕手を引き受けた。

 捕手は中学時代に少し経験があるだけだったが、「試合に出られるなら何でもやりたい」と必死に練習を続けた。初めは森山君の鋭く曲がる変化球を止めるのに苦労したが、今では「どんな球も絶対に止めてくれる」と全幅の信頼を置かれるようになった。

 試合後、「素直にうれしい」と話したが、敗れた相手チームの気持ちを思い、喜びをあまり表に出すことはなかった。「甲子園のレベルは高いと思うが、森山をしっかりリードして一勝をめざしたい」。静かに闘志を燃やしていた。(吉田博行)