井本直歩子さん(ユニセフ教育専門官)
国連児童基金(ユニセフ)の教育専門官として、五輪のテレビ中継もない国を転々としてきました。インターネットが使える任地では海賊版のサイトを見つけてはストリーミングで観戦することもありましたが、ほとんどは後で結果をまとめて見るだけ。たまたま昨年から休職中で日本にいる今回、家でテレビで観戦しているのが新鮮です。
23日、開会式をじっくり見ました。入場行進で国名を聞けば、それぞれの国が抱える様々な問題が頭に浮かぶ。たとえば内戦が続くイエメン、国軍がクーデターで権力を握ったミャンマー、イスラエルとの間で武力衝突が続くパレスチナ。平和ってほど遠いなと改めて思いました。
それでもこれだけの国や地域が集まってスポーツをすることには意義があります。難民選手団の活躍が報じられれば、難民を考えるきっかけにしてもらえる。とてもありがたいです。
国際大会で目にした格差
中学2年で競泳日本代表に選ばれ、1990年、北京で行われたアジア大会に選手団の中で最年少で出場しました。当時の北京はまだ貧しかった。街に並ぶ建物や選手村の設備からそれを感じ取りました。
その後も国際大会に出れば…
- 【提案】
この五輪、開催賛成派か中止派かと聞かれると、私は「条件つき開催派」という立場をとっていました。 五輪の理念は、スポーツを通じた平和への希求、人々の交流、相互理解です。ただ競技会を開くだけでは意味は薄く、選手同士の交流、開催都市と選手団