福島事故10年、続く風評被害に懸念 原子力白書が公表

川村剛志
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 原子力委員会は27日、東京電力福島第一原発事故から10年がたった福島の現状を特集した2020年度版の原子力白書を公表した。民間シンクタンクによる福島のイメージ調査の結果を引用し、「多くの人にとって事故当時の印象が残っている」として風評の固定化に懸念を示している。

 白書では、三菱総合研究所が昨年7月、東京都民を対象に行った意識調査を取り上げた。福島県産の食べ物や福島への旅行を家族や知人に勧めるかとの質問に対し、回答した約4分の1は「放射線が気になるのでためらう」としたという。

 白書は「復興を支えるためには、現状を理解してもらう必要がある」として、福島県産の農林水産物のほとんどが放射性物質の基準値超過がないことなどを強調。その上で、事故から10年後も続く風評被害や約3万6千人(3月時点)が避難生活を続けていることについて、「原子力関係者が忘れてはならないこと」と指摘した。

 上坂充委員長は「復興が進展していることなど、福島の現状をしっかりと把握してほしい」と話した。

 白書は原子力利用の現状をまとめたもので、委員会が発足した翌年の1957年以降、東京電力福島第一原発事故後の7年間を除いて発行が続けられている。(川村剛志)