好投手・小園、6年間の相棒と目指した日本一 市和歌山

山口裕起
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 (27日、高校野球和歌山大会決勝 智弁和歌山4-1市和歌山)

 最速152キロ右腕が散った。

 全国屈指の右腕、市和歌山の小園健太が智弁和歌山の強打に屈した。

 昨秋3戦全勝したライバルをこの日も五回までは散発2安打、無失点に抑えた。

 しかし六回、2四球などで2死満塁を招くと、相手7番に浮いたスライダーを左前に運ばれて均衡を破られた。七、八回も制球が定まらず、失点を重ねた。

 「日本一をめざしてやってきたけど、相手が上でした。僕の力不足です」

 試合後の三塁ベンチ裏。涙をぬぐった小園は、目を真っ赤にし、捕手の松川虎生(こう)に言った。

 「ありがとう」

 松川は主将として、高校通算43本塁打の4番打者として、勝利に導けなかったことを悔やみ、言った。

 「ごめん」

 大阪出身の2人は中学時代の野球チーム「貝塚ヤング」の時からこの夏まで6年間、バッテリーを組んできた。中3夏には全国制覇を果たした。

 兵庫の強豪私学に進学するつもりだった小園が翻意したのは、市和歌山への進学を先に決めていた松川に誘われたからだった。

 プライベートでも仲がいい。今年の正月には一緒に初詣に行き、「日本一」を祈願した。

 夏バテ対策に「もずく酢」が効果的と聞けば、情報を伝え合って、この夏は2人で毎日のように食べていたという。

 今春の選抜大会前、帽子のつばに2人でひとつを意味する「ニコイチ」と書き合った。この日も、その帽子をかぶってプレーした。

 2人の次の目標はプロ野球で活躍することだ。仲間ではなく、今度は敵として対戦したいという思いがある。

 小園が「虎生は最高の相棒だった。今度は2人で対戦できるよう、もっと成長したい」と言えば、松川は「きょうも小園は素晴らしい球を投げていた。負けずに頑張りたい」。

 日本一をめざしたニコイチのバッテリー。夢は次のステージへ向かう。(山口裕起)