「戦うな」圧力を受けて国を出て 元イラン代表のモラエイが銀メダル

柔道

波戸健一
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 東京オリンピック(五輪)男子81キロ級で銀メダルに輝いたサイード・モラエイは、母国の政府から「戦うな」と圧力を受け、国を飛び出た。元イラン代表で、今回の五輪はモンゴル代表として出場した。

 東京五輪の会場、日本武道館で行われた2019年8月の世界選手権だった。モラエイはイラン代表で出場したが、イスラエル選手との対戦を巡って国から出場を辞退するよう圧力をかけられた。代表関係者から「家族の自宅には治安部隊がいるぞ」と脅され、イランのスポーツ大臣からも「これは法律。従わなければ問題を抱える」と電話で迫られたなどとされる。

 しかし、モラエイは抵抗した。3位決定戦で敗れてメダルに届かなかったが、最後まで試合を全う。大会後に安全確保のため渡航したドイツで難民の認定を受けた。19年12月にはモンゴルで国籍を取得し、東京五輪をめざした。

 迎えた日本代表の永瀬貴規との決勝。延長の末、永瀬の技に耐えきれずに倒れた。それでも五輪で初のメダル。「家族とは2年間も会えていない。テレビで見ていてくれているかな。メダルを見せられる日を望んでいます」(波戸健一)