黒い雨訴訟上告断念 長崎の原告、和解協議申し入れへ

米田悠一郎、安斎耕一
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 広島への原爆投下後に「黒い雨」を浴びたと訴えた原告全員を被爆者と認めた広島高裁判決について、菅義偉首相が26日、上告断念を表明した。国の線引きで被爆地域の外にいたため被爆者と認められず、裁判を続けている長崎の「被爆体験者訴訟」の原告らは27日に記者会見し、長崎地裁に28日に和解協議を申し入れると明らかにした。

 会見した原告団長の山内武さん(78)=諫早市=は、上告断念を「いい方向に向かっている」と評価。この日午前の加藤勝信官房長官の記者会見では、「具体的な審査認定については長崎県長崎市ともよく相談したい」との言及があった。山内さんは、この発言について「言うだけで本当に救済してくれるか心配」と述べた。

 支援者で自らは被爆者の川野浩一さん(81)=長与町=も上告断念を「率直によかった」と歓迎。一方で県と長崎市に対しては「国に解決に向け強く働きかけてほしい」と求めた。

 一方、中村法道知事は27日の定例記者会見で、長崎で降った黒い雨について「広島とは雨量が全然違い、降ったのはほとんど被爆地域の中に組み込まれている状況」と指摘。「今回の判決を長崎にそのまま適用していただくのは難しい面もあるのではないか」と慎重な見方を示した。(米田悠一郎、安斎耕一)