五十嵐カノア「海の神様、ありがとう」 堀米雄斗との誓いはかなわず

サーフィン

照屋健
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 五十嵐カノア(23)は1人、砂浜に突っ伏して、悔しがった。「こんな大切な五輪のファイナルで、作戦が合わなかった」

 35分間で好きなだけ波に乗り、最もよかった2本の合計点を競う決勝。世界ランク6位の五十嵐に対し、相手は2位と格上のフェヘイラ(ブラジル)だった。

 この日接近した台風の影響で水は濁り、波の来る場所は不規則だった。「コンディションが10分ずつ、変わる。その変化に気がつけなかった」。35分間で波に乗った回数は14回。そのほとんどは波が途中で崩れ、十分な技を披露できなかった。焦りからか、終盤に着水できるかわからない捨て身の空中技を繰り返す姿は、らしさを失っていた。

 10点満点中、7点台を3本そろえたフェヘイラに対し、五十嵐は最高得点で3・83。ほとんどは2点以下と、「波に乗る場所を間違えた」という。

 決勝で敗れたものの、準決勝で世界ランク1位の選手を破るなど、快進撃を続けた。サーフィンが五輪種目に決まってからの5年間、注目を浴び、プレッシャーで寝られない日もあった。そのなかで、世界トップの海外勢に勝つためにジムに通い、体重を7キロ近く増やした。波が小さい釣ケ崎海岸に合わせるため、板も12本用意。「自分が活躍して、サーフィンを知ってもらいたい」と意気込んでいた。

 開会式の日。スケートボードで金メダルを取った堀米雄斗と「一緒に金メダルを取って、写真を撮ろう」と誓った。その夢はかなわなかったが、「一人でも多く、サーフィンファンは増えてくれたかな」。海に向かって頭を下げ、言った。

 「一生忘れない日。海の神様、これまでありがとう」(照屋健)