2球投げて修正 上野由岐子「413球」から13年で積み上げた経験

ソフトボール

井上翔太
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(27日、ソフトボール決勝 日本2-0アメリカ)

 米国との決勝。19歳下の後輩に六回途中でマウンドを譲り、1度はベンチに下がった上野由岐子が、再出場できる「リエントリー」というルールで、七回に戻ってきた。

 「顔面蒼白(そうはく)で投げてくれていたので、逆に奮い立たせてくれた」。2死。最後の打者を捕邪飛に仕留めると、仲間が自分のもとへ集まり、歓喜の輪ができた。

 修正力のたまものだ。

 先発し、最初の2球がボールと判定されると、すぐにフォームを変えた。

 それまでは投手板に両足を乗せた後、左手にはめたグラブと球を握る右手を、へその前で合わせて、投球動作に入っていた。2ボールからは、この両手をあらかじめ右腰の方向に寄せて始動。福島県営あづま球場でのフォームに戻した。

 決勝は一回、制球が乱れて三つのバッテリーミスが出たが、何とか本塁を踏ませず。二回以降は立ち直った。バッテリー間でしか分からないような微細な変化球を駆使し、どこからでも長打が出る米国打線を1安打に抑えた。

 豪速球を武器に26歳で臨んだ北京五輪は、2日間で計3試合を1人で投げ抜き、「上野の413球」と呼ばれた。39歳の今は、数々の国際舞台を経験したゆえの引き出しがあった。

 五輪で姿を見られるのは、これが最後だろう。「使命感」と位置づけた一戦で力投し、13年越しの連覇。「(宇津木)麗華監督が重圧に押しつぶされちゃうんじゃないか、という姿を見ていた。力になりたかった」。3度胴上げした宇津木監督と抱き合ったとき、涙が流れた。井上翔太