PR自粛、誘客への葛藤 檜原村の観光拠点施設オープン

杉山圭子
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 人口約2千人、山梨県と接する西多摩郡檜原村。都内の新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の2848人となった27日、この村に観光と産業の拠点施設「ひのはらファクトリー」がオープンした。村特産のジャガイモを使った焼酎工場があり、飲食の提供や地元産品の販売なども行っている。年々過疎化が進む中、観光客を誘致しようと整備を進め、完成にこぎつけた。

 だがこの日、訪れる人はまばらだった。4度目の緊急事態宣言下、村は施設のPRをあえて自粛してきた。「オープンします、という以外は言っていません。来ないでくださいとも言えないが、来てください、とは言えない」と村の担当者。

 1週間前には、坂本義次村長が隣の奥多摩町の師岡伸公町長と「不要不急の来村・来町の自粛を」のメッセージを発表していた。

 自然豊かな両町村がここまで来訪者に神経をとがらせるのには、理由がある。

 今年6月、都内で3度目となった緊急事態宣言が解除され、まん延防止等重点措置に切り替わった際、檜原村と奥多摩町が区域外に。感染者数が少なく、「クリーンなまち」との印象が強まり、両町村のキャンプ地などを訪れる人は週末ごとに増えていた。

 本来ならうれしいはずの誘客増も、感染拡大を招きかねないと喜べない状況が続く。オープン初日、夕方5時までの営業時間中、訪れた客は数十人。その大半が村民だった。ジャガイモコロッケやカレーなどを味わい、満足そうだった。

 村の感染者数は26日時点で累計で10人。都内では島しょ部を除くと、最も少ない。新たな感染者は2カ月以上確認されていない。(杉山圭子)