念願舞台で決めた半月蹴り 非公式でも「これが僕らのオリンピック」

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 26日午後8時、江畑秀範(28)は、念願の舞台に立った。東京五輪テコンドー会場のマットに足を踏み入れ、イランの選手と向き合う。いきなり自らの198センチの巨体を宙に舞わせると、反転してかかとを振り抜く大技「半月蹴り」を炸裂(さくれつ)させた。

 「一発、狙っていました。俺たちが主人公なんだって、言い聞かせて……」

    ◇

 大阪で生まれた在日2世。特に運動もしていなかった高校生のころ、路上でよく絡まれた。

 「でかいからって強いと思うなよ!」

 背が高くても、体は細く自信もない。何も言い返せない自分が悔しくて、高校2年生の冬に始めたのがテコンドーだった。学校から徒歩5分の道場に通い詰め、急成長。競技を始めて約2年の2012年、日本選手権80キロ級を制した。

 13年秋、運命を感じた。韓国の大学で武者修行中に、東京五輪の開催決定を知った。その1カ月前に日本国籍を取得したばかり。「鳥肌が立った」。日本で生まれ、日本で育ち、日本でテコンドーに出合った。「東京五輪で日本に恩返ししたい」と思いを定めた。

 ただ、その道は混迷した。

 江畑は国内で連覇を重ねる一…

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