「ズッコケ」の衝撃、信頼できる大人がいた 辻村深月

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寄稿
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 児童文学の不朽の名作「ズッコケ三人組」シリーズの作者、那須正幹さんが22日、79歳で亡くなった。シリーズの大ファンで、生前、対談もした作家の辻村深月さんが、「みんな大好きな」理由をつづってくれた。

 『ズッコケ文化祭事件』という本がある。那須正幹先生の代表作「ズッコケ三人組」シリーズの中でも、私がとりわけ大好きな一冊だ。

 ハチベエ、ハカセ、モーちゃん。いつもの三人組のクラスで文化祭に劇を上演することになり、彼らはその脚本を近所に住む童話作家に依頼する。作家は自分が思う「子どもらしい」劇の脚本を仕上げて渡すが、受け取った子どもたちは勝手にあれこれアレンジしてしまう。主人公の三兄弟は「みんな男子なのは男女差別」と女の子も加わり、彼らの親を攫(さら)う悪い「大魔王」は、社会問題としてニュースを騒がせていた「地上げ屋」へ。クライマックスのなぞなぞ対決は「幼稚園の子がやるみたいでおもしろくない」と、中味を片栗粉に入れ替えた消火器を使っての乱闘シーンヘ――。

 私がこの本に出会ったのは小学五年生の時。読み進めながら、子ども心に「えええっ?」と衝撃の連続だったことを覚えている。

 作中、自分の脚本を勝手に変えられ、怒り狂う童話作家に向け、ハチベエたちの担任・宅和先生がこう告げる。

「あんたは、じぶんの心のなか…

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