「読み、聞いて楽しむ」 常識破りの映画が与える気づき

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佐藤啓介
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 目や耳が不自由な人が映画を楽しむ補助ツールとして使われてきた音声ガイドや字幕を全ての観客向けに劇場で流してみたら――。そんなユニークな上映方法を採り入れたドキュメンタリー映画が公開された。場面の描写などで情報量が多くなる分、「鑑賞の邪魔になるのでは」と製作サイドには心配もあったが、「斬新な映画体験」などと好評だ。作品の魅力とは?

 映画は、障害者の表現活動を通じてコミュニケーションの可能性を探ったドキュメンタリー「へんしんっ!」。現在は立教大の大学院で映像表現を学ぶ石田智哉さん(23)が大学時代に監督を務め、約2年かけて製作した。自主映画の代表的な映画祭「ぴあフィルムフェスティバル」で昨年、グランプリに輝いた。

 「人と人の間にある違いや壁をどう乗り越えるか、そういうことに関心があった」と石田さん。自身は生まれつき身体に障害があり、普段は電動車いすに乗って生活している。作品の前半では、様々な表現活動を「壁を壊す手段」ととらえた石田さんが、全盲の俳優やろう者劇団のパフォーマーらと対話を繰り返しながら考えを深めていく。後半では、石田さん自身が舞台に出演することになり、自分の新たな一面に出会って変化していく様子が描かれる。

 自分の問いを観客とも共有したいと採り入れたのが、「オープン上映」と名付けた上映方式だ。劇場のスクリーンには日本語字幕を投影。登場人物の表情や動きをナレーションする音声ガイドもスピーカーから流れる。本編ではダンスやパフォーマンスの場面も多く登場するが、誰が、どんな動きをしているかが細かく説明される。

 「目や耳にハンディがある人がどのように『表現』に触れているか、健常者も映画を通じて体感できる。初めは違和感もあると思うが、普段の鑑賞とは違う気づきを得てもらえれば」と石田さんは話す。

 とはいえ、従来、字幕や音声…

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