涙が止まらなかった1度目とは違い、2度目の表彰台は笑顔だった。競泳女子200メートル個人メドレーを制し、400メートルとの2冠を達成した大橋悠依は「本当に自分がとったのかな、という感じです」。
滋賀県のスイミングスクールで泳いでいた高校時代までは無名だった。そんな彼女を東洋大の平井伯昌監督が勧誘した。北島康介ら数多くの五輪メダリストを育てた名指導者だ。平井監督はこう、口説いた。「大学4年間で伸びきれるかわからない。時間をかけて育てようと思っています」
当時の身長は170センチ近くで、体重は50キロに届くかどうか。卵アレルギーなども抱え、丈夫な体とは言えなかった。
大学入学直後、他の部員が午前と午後の1日2回、水中練習をしていたのに、大橋が課されたのは1日1回のみ。体への負荷を考え、泳ぎ込みの量を抑える配慮だった。
大学2年の日本選手権の20…