金メダルの新井、高校で詠んだ「日の丸の…」16分の死闘支えた執念

有料記事柔道

波戸健一
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 左手の指3本で相手の襟から締め上げてゆく。今にもほどけそうな不完全な形。それでも、東京オリンピック(五輪)女子70キロ級の新井千鶴の指先に宿る執念が、そうはさせなかった。

 女子70キロ級準決勝は、試合開始から16分が過ぎていた。

 新井の前髪から汗がしたたり落ちる。返し技でマディナ・タイマゾワ(ROC)は腹ばいで崩れた。必死に抵抗した相手に覆いかぶさり、とっさに狙ったのが送り襟絞め。

 「自分が一番になるんだ。その思いで一年一年を積み上げてきた。悔いだけは残したくなかった」

 もう相手は動かない。仕留めた。激闘を制した新井は、そのまま決勝も勝ちきった。

 新井は「近づいては遠のく。それが私のオリンピック」と漏らしたことがある。

 5年前のリオデジャネイロ五…

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