第2回救われた命 元米兵が支援活動 「通訳は武器より重要」

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バージニア州オークトン=藤原学思
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協力の代償 アフガン米軍通訳の証言② デザイン・北谷凜
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 「No One Left Behind」(誰ひとり、取り残さない)。元米軍人のマット・ゼラーさん(39)はそんな名前の団体を設立し、アフガンニスタン人の通訳らが米国のビザを得られるよう尽力してきた。自らが、アフガン人通訳に命を救われたからだ。

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2001年の米同時多発テロを受け、米国は容疑者をかくまっているとしてアフガニスタンを攻撃し、タリバーン政権を崩壊させました。米軍は駐留を続け、多くのアフガン人通訳が重要な役割を果たしました。だが、反政府勢力となったタリバーンからみれば、通訳は「敵の協力者」。報復の脅威にさらされている彼らの今を伝えます。

 米同時多発テロから20年となる今年、バイデン政権は8月末にも、米軍を完全に撤退させる。だが、ゼラーさんは米軍に協力したアフガン人の元通訳らに対する処遇に不満を漏らす。

 「連邦政府の仕組みは、ビザが発給されないようにできていた」

 元通訳らへの特別ビザ発給は2009年に始まった。同時期に働いた米兵からの推薦書など、膨大な資料をそろえる必要があり、ゼラーさんによると、申請から判断までは平均4~5年かかっていたという。

 国務省によると、14年末以降、2万6500人の元通訳にビザが発給された。だが、なお1万8千人の元通訳がビザの発給を待っており、反政府勢力・タリバーンからの「報復」におびえている。

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アフガニスタンで赴任当時に使っていた携帯電話を手にするマット・ゼラーさん=2021年7月14日、米バージニア州オークトン、藤原学思撮影

 国連開発計画やエール大で勤務し、特別ビザに詳しいネイサン・アドルパーバー氏は、アフガン人通訳について「米軍とアフガンコミュニティーの極めて重要な架け橋だ」と指摘。その上で、「ビザの処理がひどく遅れてたことは明らかだ。安全保障上の懸念もあるが、一方で通訳者の命を守る必要があり、これまで実際に問題を解決しようとしてこなかった」と話す。

 「通訳は戦場において、武器よりも重要だ。彼らは私たちの目であり、耳だ」。そう語るゼラーさんは13年に支援団体を立ち上げ、のべ数十万人のビザ申請に携わってきた。

 それは、08年4月28日の出来事がきっかけだった。

 アフガニスタンに赴いて14日目。ゼラーさんを含む15人の米兵がある村を視察をしていたところ、タリバーンの戦闘員約50人に包囲された。地図が古かった。次々に砲弾が降ってきて、ゼラーさんも溝に吹き飛ばされた。

ゼラーさんはどうやって窮地を脱したのでしょうか。記事後半では、アフガン人通訳への感謝の思いやタリバーンが勢いを増すアフガン情勢について伝えています。

 「私はこれから、ここで死ぬ…

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連載協力の代償 アフガン米軍通訳の証言(全3回)

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