20人死傷の飲食店爆発から1年 原因や責任所在はまだ

飯島啓史、見崎浩一
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 福島県郡山市の飲食店で昨年7月に起きたガス爆発事故から、30日で1年となった。20人が死傷した事故の原因について県警が捜査を続けているが、原因究明や責任の所在をはっきりさせるのは時間がかかりそうだ。

 爆発事故は郡山市島2丁目の「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で昨年7月30日朝に起きた。内装工事のため店内にいた男性(当時50)が亡くなり、付近の住民ら男女19人が重軽傷を負った。店内にプロパンガスが漏れ、何らかの原因で引火し爆発したとみられる。郡山消防本部によると周辺の建物232棟が被害を受けた。車両57台などを含めた損害額は約12億2600万円にのぼる。

 現在、現場はドラッグストアの建設予定地となっている。周囲の建物も多くは修理され再建されているが、事故の責任と補償については現在も明確になっていない。

 現場に隣接する通信設備会社「ニノテック」は、4階建て本社や倉庫など5棟が被害を受けた。社有車約20台や倉庫内の在庫商品を含め、損害は約2億円にのぼる。全て保険でまかなったといい、担当者は事故の補償について「警察の捜査が続いているので、見守っている状況だ」と話す。

 近くに住んでいた男性(64)は、木造2階建て一軒家が全壊した。妻と長男とともに避難所や市営住宅に避難していたが、保険と店の親会社などが設立した基金で約3千万円を捻出し、昨年12月に自宅を再建できた。「時間のかかる裁判にならず、基金で迅速に援助してもらい助かった」と話す一方で、「再発防止のためにも事故原因を早く究明し、責任者には謝罪してほしい」と訴える。

 経済産業省は昨年12月、店内のガス管が法令に反して床に接し、腐食しやすい状態だったとする報告書を発表。ガス管に複数の腐食部分があり、そこからガスが漏れたと推定している。

 県警は業務上過失致死傷の容疑で関係各社の責任者などから任意で事情を聴いているが、捜査関係者は「責任の所在を判断するには時間がかかる」と話す。

 「しゃぶしゃぶ温野菜」を展開するフランチャイズ本部の株式会社レインズインターナショナル(横浜市)は取材に対し「事故原因、責任の所在はいまだ明らかにはなっていませんが、これらにかかわらず、被害に遭われた方への対応を継続してまいります」とコメントした。

 同社によると、被災者からの住宅や車両、家財道具などの被害、回復相談は延べ約600件。同社などが設立した郡山事故被害対応基金から「加害者が負担すべき金額を加害者に代わって立て替えている」という。

 郡山市は今年2月、責任があると思われる関係6者に対して総額約550万円の損害賠償を請求。賠償の意向などについて、6者と書面でのやり取りが続いているという。品川万里市長は21日の定例会見で「被害を受けられた方々については我々としても心が痛む。今後どのようなことになるかを見守り、状況に応じて法に基づいて対処したい」と話した。(飯島啓史、見崎浩一)