役所で働く気象予報士「雨は止められない」けど重要任務

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長橋亮文
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 甚大な洪水被害をもたらした2011年7月の新潟・福島豪雨(7・29水害)から10年。04年7月の豪雨(7・13水害)でも五十嵐川の決壊などで大きな被害が出た新潟県三条市は、気象庁の「気象防災アドバイザー」を常勤させ、平時から気象状況の把握に努めたり、小中学生の防災教育に力を入れたりしている。

 気象防災アドバイザーは、気象庁の委嘱を受けた同庁出身者らの気象予報士が自治体の臨時職員などとして防災対策にあたる取り組み。豪雨のほか、台風や豪雪など異常気象時に対応するため、三条市では4月から気象予報士の内藤雅孝さん(65)が行政課防災対策室に勤めている。通年で自治体に勤務するのは全国的にも珍しいという。

 豪雨災害が予想される際には、地域の気象の見通しや川の水位などを市幹部に説明。その情報を参考に市は避難情報の発令など意思決定をする。平時にも朝5時ごろから気象レーダー衛星画像を分析。市内各地点の予想雨量やダムの貯水量をまとめた資料を提出している。内藤さんは「気象予報士には雨を止められない。情報を正確に伝えるのが役割」と強調する。

 同市では災害時の効果的な情報発信に取り組んできた。東京大学大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)のアンケートによると、04年の「7・13水害」では、市が発令した避難情報を得られたとの市民の回答は22%に過ぎなかった。だが、7年後の「7・29水害」では、屋外スピーカーを整備し避難を呼びかけたところ、情報を得られたとの回答は93%に改善した。市は、気象防災アドバイザーの内藤さんの協力を得てより正確な情報を住民に伝え、避難情報発令の精度を向上させる考えだ。

 一方、10年がたち、水害の…

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