崩れた心、笑い合って切り替えた伊藤美誠「同じ負け方はもうしない」

卓球

吉永岳央
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 喜びと同時に、悔しさが湧き上がる。だから、試合が終わっても控えめに左の拳を握っただけ。「悔しい気持ちの方が大きいかな。99は、悔しい」。卓球日本女子初のシングルス銅メダルにも、伊藤美誠は大粒の涙をこぼした。

 理由は準決勝にある。相手は中国の若手エース、同じ20歳の孫穎莎。「本当に惜しくもなかった。何もできなかった」。言葉の通り、試合時間わずか34分。ストレートで屈した。

 孫の自慢は強打。対策も万全だった。だが、スピードも回転も落とした、あえて質の低いボールを打ってきたという。「逆のことをやられて焦った結果、崩れてしまった」と松崎太佑コーチは言う。

 めざしたのは、あくまで頂点。3位決定戦までの約7時間で、どう気持ちを立て直すかが課題だった。

 「え、次は決勝だよ?」と言う松崎コーチに、「そんなこと思えねーよ」と伊藤。そんな冗談で笑い合うことで気持ちを入れ替え、コートに立ったという。

 世界ランク2位の伊藤に対し、3位決定戦の相手は47位。格下に第1ゲームを取られたが、慌てなかった。松崎コーチは「同じ負け方をもうしないように集中して、焦らず、我慢強かった」。伊藤が見せた、小さな成長だった。

 中国は今回、伊藤に大敗したことがある前回金メダルの丁寧を外し、伊藤との相性が良い2人を代表に選んだ。中国勢を何度も破り、現地で「大魔王」と呼ばれる日本のエースへの警戒が透ける布陣だった。

 中国勢を破っての混合ダブルス金と、中国勢の壁の高さを思い知ったシングルス銅。この後は、最後の団体戦が待っている。「全勝して、チームに良い流れを持ってきたい」吉永岳央