重量級男子「僕は全力だった」 女子78キロ超級・素根輝の乱取り

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波戸健一
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 ディビリア・ギルバート(20)=富士大=の柔道着の左袖は、だるだるに伸びている。

 福岡県久留米市立南筑高の柔道部で3年間、激しい稽古に耐えた柔道着だ。生地を無残に引き伸ばした稽古相手は、東京オリンピック(五輪)柔道女子78キロ超級に出場する素根輝(21)=パーク24=だった。

 父は日本人、母はフィリピン人のディビリアは男子重量級の選手で、素根の一つ後輩に当たる。女子では規格外の力を持つ素根に女子選手は稽古相手にならず、ディビリアは格好の稽古相手だった。

 左組みの素根は、右手で相手の左の袖口をつかんで戦う。ディビリアの左手首は、柔道着の摩擦で何度もやけどしそうになった。それほど素根との稽古は激しかった。

 最初は4分を10本。追加で4分を8本。最後に3分を8本。乱取りはとにかく終わりが見えない。

 「最高で4分を30本やりました」とディビリアは苦笑する。ほぼ休憩なしで組み合うこと3時間。他の部員が帰り支度を始めても、2人の乱取りはひたすら続いた。

 ディビリアには忘れられない思い出がある。素根が進学した環太平洋大から出稽古で母校に戻って来ていた時のこと。いつものように2人で乱取りをしていると、「ディビ、もう帰っていいよ」と素根が突然怒り出した。

 「その日はいつもと変えて…

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