帽子のつばに書いた「約束」 市岐阜商エースは変わった

板倉吉延
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(29日、高校野球岐阜大会決勝 県岐阜商4-3市岐阜商)

 市岐阜商は1点リードで迎えた八回裏、無死満塁のピンチを迎えていた。打席には、二回に先発投手から先制本塁打を放った県岐阜商の4番打者・高木翔斗主将(3年)。

 「抑えてやろう」

 二回途中から継投した市岐阜商のエース高橋知亜投手(3年)は帽子のつばに書いた「約束」の文字を確かめた。

 昨秋の県大会で県岐阜商に敗退。練習試合でも結果が出ず、練習に身が入らなかった。そんなとき、佐藤孝昭主将(3年)から「おまえがやらな、誰がやるんだ」と一喝された。「自分はなにをしていたんだろう」。翌日謝り、約束した。「一緒にチームを引っ張る。甲子園に行き、8強以上を果たそう」

 県岐阜商に通用しなかった直球を磨こうと、冬の間、毎日遠投を重ねた。球速は最速140キロから146キロに。回転数も増え、空振りが取れるようになった。春の県大会では県岐阜商を下し雪辱を果たした。今大会は準決勝までの全5試合に登板し、失点1の好投で決勝に駒を進めた。

 決勝終盤のこのピンチの場面で、高木主将にも得意の直球を投げ込み、三塁ゴロで併殺に打ち取った。マウンドで後ろを振り返り、中堅を守る佐藤主将と目を合わせた。

 続く中西流空(りく)選手(3年)にも直球で押した。だが、追い込んでからの6球目。外角の直球で三振を狙ったが、やや内側に入ったところを左前に打ち返され、3―4と逆転された。試合後、高橋投手は「詰まらせたつもりが、あそこまでいかれた。さすがだった」と振り返った。

 九回表の攻撃は2死一、二塁と粘ったが後続が倒れ、「最後の夏」が終わった。高橋投手は「自分らしく楽しんで投げられた。みんなに恩返しのプレーができた」と笑顔を見せた。(板倉吉延)