食糧難の北朝鮮、軍備蓄米を販売 無料期待の住民は失望

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ソウル=神谷毅
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 食糧難が続く北朝鮮が、軍の備蓄米を住民に販売し始めた模様だ。事態収拾に向けた動きだが、無料の配給を期待していた住民の不満は高まっているという。今夏は干ばつや水害も追い打ちをかけ、食糧事情はさらに深刻になりそうだ。

 北朝鮮経済制裁新型コロナウイルス流入を防ぐための中朝国境封鎖、昨年に相次いだ災害の「三重苦」に見舞われた。金正恩(キムジョンウン)総書記は朝鮮戦争の休戦協定締結から68周年となる7月27日の演説で「世界的な(新型コロナの)保健危機と長期的な封鎖により、戦争に劣らない試練に直面している」と語った。

 食糧不足により、北朝鮮の各地で米価が高騰している。この事態を受け、正恩氏は6月中旬の朝鮮労働党中央委員会総会で、国民生活の安定に向けた「特別命令書」に署名した。命令には、軍が備蓄する食糧を放出する指示が含まれていたとみられる。

 北朝鮮の内情を知りえる関係者によると、当局の食糧販売所で最近、米やトウモロコシが市場の平均より少し安く売られ始めた。来年初めまでに計400万トンの軍の備蓄を放出する計画があるという。しかし、この関係者は「住民は無料の配給を期待していたので、失望と不満が高まっている」と話す。

 別の関係者が北朝鮮の住民から伝え聞いた話によると、北朝鮮の全域で猛暑による干ばつがひどくなっている。日本海側の咸鏡南道の川が数十年ぶりに干上がったとの報告もある。平壌の大学は6月末から休校となり、水を確保するための「干ばつ戦闘」に学生らを地方に派遣。動く機械がほとんどないため、手作業で井戸を掘っているという。

 住民の一人は1990年代後…

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