「俺らの1年示すような試合」 高田商、どん底から成長

篠原大輔
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(29日、高校野球奈良大会決勝 智弁学園6-4高田商)

 もっと見ていたかった。高田商が負けて、そう思った。戦い方にしっかり芯があって、個性的な選手もいる。面白いチームだった。

 唯一の1年生メンバーである1番打者の東口虎雅(たいが)は試合前、先輩たちと談笑しながら素振りをしていた。最初の打席。三ゴロが失策を誘って出塁。彼が出れば、何かが起こる。1死満塁から山中優輝(3年)の左飛でホームイン。智弁学園から先制だ。

 その裏、6点を奪われたが粘る。一回の途中から登板した合木(ごうき)凜太郎(同)が強気に投げ込み、主将で二塁手の津田侑輝(同)らが好守でもり立てる。二回以降は1点も許さなかった。

 この日、4打席とも回の先頭だった東口。六回は左中間二塁打を放ち、牽制(けんせい)悪送球などでかえってきた。七回にも合木の二塁打を足がかりに1点。九回も1点加えたが、届かなかった。

 どん底からのスタートだった。昨秋の県予選は初戦で橿原にコールド負け。春も3回戦敗退。選手には赤坂誠治監督から何度も厳しい言葉が飛んだ。津田たちは当初言われるがままだったが、徐々に選手同士でも弱点を指摘し合い、乗り越えてきた。

 試合後、赤坂監督は選手たちの前に立ち、泣いた。「俺らの1年を示すような試合やったな。6点取られて始まったけど、そこから粘った。2点足りんかった。でもな、お前らは成長した。たくましくなった。たくましくなったよ。この1年の頑張りはこれからの人生に生きてくると思う」

 どん底からはい上がり、天理に勝ち、智弁学園も苦しめた。高田商のアツい夏が終わった。(篠原大輔)