「コロナは不平等」痛みはより貧しい人、より弱い立場に
高橋末菜
顕れたもろさ コロナ危機と経済:2
関西の市役所で非正規職員として働く40代の女性は、中学生の息子と2人で暮らす。仕事から帰宅すると息子の分だけ夕飯を用意する。食費節約のために、週の半分以上で自分の夕飯を抜く生活は、もう1年以上になる。
最初の緊急事態宣言が出た昨年4月、パート先から解雇を告げられた。会社の業績が傾き始めていたからだ。2週間後に失業したが、会社が支払うべき「解雇予告手当」はもらえず、頼りにしていた失業給付も受け取れなかった。収入を増やそうと、一時期、派遣の仕事を掛け持ちしていたことが裏目に出て、受給に必要な要件を満たせていなかった。
「家賃が払えなくなったら」と恐怖を感じていた。ようやく見つけたのが、いまの市役所の仕事だ。時給1千円で、前の会社より200円低い。朝9時から夕方5時過ぎまで働いても手取りは月10万円台前半。月1万円の児童手当と、4万3160円の児童扶養手当を足しても赤字で、わずかな貯金を切り崩して暮らす。息子には塾をやめてもらった。市役所とは今年度末までの契約で、その先は見えない。
市役所の窓口に立ち、失業し…