「なぜバスから降ろさなかった」泣き崩れた母 園児死亡

古畑航希
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 福岡県中間市の双葉保育園で、男児がバスの車内で死亡した事件。亡くなった倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)の母親(37)は30日、「息子はもう帰ってこない」と泣き崩れた。

 冬生ちゃんは29日の午前8時ごろ、母親とともに家を出た。自宅前に送迎バスが到着すると、運転していた40代の女性園長に「おはようございます。よろしくお願いします」とあいさつし、いつも通り母親に手を振ったという。それが最後に見た姿となった。

 午後5時過ぎ。母親は帰りのバスを迎えたが、車内に冬生ちゃんの姿はなかった。

 「うちの冬生は?」とたずねると、職員は「冬生君来てませんよ」。

 慌てて走って園に着くと、病院に搬送されたと伝えられた。園長は「冬生君が寝ていたから気づかなかった。ごめんね」と話したという。

 「その時点では、何か具合が悪い程度かと思った」

 だが、病院で医師と看護師から「亡くなった」と伝えられた。

 いつも笑顔で「ママ」と駆け寄り、夜は母親と同じベッドで寝ていた。週末には水族館に行く約束をしていた。「周りを明るくしてくれる活発な子。いてくれるだけで幸せでした」。来春、小学生になるのが楽しみで、「サッカーをしたい」と話していたという。

 「バスの中で苦しい思いをしていたのか。なんでバスから降ろさなかったのか。今日いないのが信じられない。うちの子だけ、なんで」とおえつした。(古畑航希)

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    中野円佳
    (ジャーナリスト)
    2021年7月30日20時43分 投稿
    【視点】

    別の記事に園バスと朝の点呼のオペレーションの問題も指摘しましたが、この記事のとおりだったのであれば、判明した際の連絡系統にも問題があると思います。母親が来ていないことに気付いて初めて探して、バスの中でぐったりしているところを発見されたとした