冗舌な馬淵節は最高の賛辞 監督を本気にさせた森木投手

山口裕起
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 明徳義塾馬淵史郎監督は、いつにも増して冗舌だった。

 「そりゃあ、簡単に甲子園に行かせるわけにはいかんよ。うちにも意地があるから」

 28日にあった高校野球高知大会決勝。プロ注目の好右腕、森木大智を擁する高知を5―3で破って21度目の優勝を決めた。西日を浴びながら、ホッとした表情で汗をぬぐう姿が印象的だった。

 中学時代に150キロを計測した森木の直球は、高校で154キロまで伸びた。打者の手元で曲がるカットボールやツーシームなど変化球も一級品だ。なにより、気迫のこもった投げっぷりが彼の最大の魅力。取材をしながら、ほれぼれしたものだ。

 その森木が最後の夏に初めて甲子園のマウンドに立てるか。今大会の大きな関心事の一つだった。それが、春夏の甲子園通算51勝の65歳を本気にさせた。

 「どこかの報道で、『高知が本命で明徳は対抗』と書かれてた。1回も(森木は甲子園に)出たことがないのに。(その報道に)ふざけるな!と思ったよ」

 対策を徹底した。打撃マシンを160キロ近くに設定してバットを振り込んだ。決勝では高めの直球と低めのスライダーに手を出さずに重圧をかけ続け、狙い通り、球威が落ちてきた終盤に畳みかけた。

 試合前には神社に参拝し、朝、地元紙で見かけた占いも信じていた。「今日のラッキーナンバーは4らしい。(自身の)11月生まれには1年に1回しかない、ええ日らしい」。実際に4番打者や背番号4が活躍し、「ほらな」と笑った。

 「力は出しきったけど、相手が上だった」と森木は言った。

 「野球って、そう甘くない。まあ、彼は抜群の素材やけどね」。最後まで“馬淵節”は健在だったが、それは相手エースへの最大限の賛辞でもあった。(山口裕起)