福島のソウルフード「凍天」復活 懐かしい味に喜びの声

滝口信之
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 こんがりきつね色に揚がったドーナツの中に「凍(し)み餅」が入っている「凍天(しみてん)」。福島のソウルフードとも呼ばれたが、2年前に当時の販売会社が自己破産し、味が途絶えていた。しかし、昨年9月に別の会社が販売を再開し、6月末には福島市に新店舗がオープンするなど復活を遂げている。

 JR福島駅西口(福島市)のショッピングセンター「パワーシティピボット」の食品売り場の一角に6月25日、「凍天処 木乃幡(このはた)」がオープンし、多くの人が列を作った。以前は月に数回、凍天を食べていたという福島市の50代の女性は開店を知り、駆けつけた。「待ちに待った復活。同じ味を食べることができてうれしい」と話した。

 凍天は、県内の伝統的な保存食凍み餅をドーナツ生地で包み込んで油で揚げた菓子だ。南相馬市の餅菓子店が製造、販売。テレビ番組「秘密のケンミンSHOW」(日テレ系)でご当地スイーツとして紹介されるほどの人気だった。

 しかし、餅菓子店が2019年、東京電力福島第一原発事故による風評被害などによる業績悪化を理由に自己破産を申請。凍天の製造、販売も止まった。

「あの味を復活させたい」と直談判

 そんな中、化粧品通販などを運営する「キノシタコーポレーション」(本社・福島市)が昨年、凍天の特許と商標権を餅菓子店から買い取った。自身も凍天好きだったという木下秀之社長は「なぜ途絶えたのか不思議だった。常連客もおり、商売になると思った。どうにか味を復活させたかった」と理由を語る。

 木下社長自らが餅菓子店の社長を訪ね、「あの味を復活させたい。そのためにも製造方法を教えてほしい」などと直談判した。商標や特許に関する入札に参加し、落札した後、製造方法を教えてもらい、当時の味を再現した。

 昨年9月に東北自動車道下り線国見サービスエリアのフランチャイズ店で販売を再開した。商品名や店名はそのまま使用した。昨年12月には桑折町に工場を新設し、4月末から直売も始めた。売れ行きは予想以上で、桑折町の店舗では一カ月で約6万個が売れたという。

 今後は県内のほか、県外での出店も計画中だ。木下社長は「もう食べることができないのかと思っていた人もいると思う。福島のお土産として選択肢となるようにしたい」と意気込む。

 凍天は1個200円(税込み)。営業時間などは同社HP(shimiten.jp/)へ。(滝口信之)