美術館に怖い浮世絵ずらり 絵師たちの想像力、楽しんで

高橋杏璃
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 江戸時代末の怪談ブームに乗じて妖怪や幽霊を描いた作品を集めた「怖い浮世絵展」が、秋田市中通1丁目の秋田県立美術館で開かれている。絵の題材となった物語についても紹介されており、同館の担当者は「一つの話を絵師がどう怖く表現したか、想像力の豊かさを楽しんでほしい」と話している。

 同展では、浮世絵や肉筆画104点が並ぶ。中でも、真っ暗な背景から大きな骸骨がぬっと出てくる様子が印象的なのが、江戸後期の浮世絵師・歌川国芳の「相馬の古内裏(ふるだいり)・滝夜叉姫(たきやしゃひめ)と大骸骨(だいどくろ)」。源氏への復讐(ふくしゅう)をもくろむ平将門の娘・滝夜叉姫が、妖術で骸骨を呼び出す場面を表している。化け物を操れる妖術使いは、金持ちから金品を奪って貧者に分け与えることもあったため、人々に人気だったという。

 学芸主任の佐々木佳苗さんによると、原作の読本「善知鳥(うとう)安方(やすかた)忠義伝」では、小さい骸骨がたくさん出てくることになっている。「国芳はあえて1体だけ巨人の骸骨を描くことによって、怖さを表現したのかもしれません」

 国芳の弟子・月岡芳年(よしとし)が描いた「新形(しんけい)三十六怪撰 おもゐつづら」は、昔話「舌切り雀」の一場面を表現した作品。欲張りなおばあさんが雀の宿から持ち帰った大きなつづらから、三つ目小僧などの妖怪たちが飛び出している。

 「芳年の筆の運びを再現した彫り師や、下絵通りの色を再現した刷り師の技量が分かります」と佐々木さん。おばあさんの服の白色の部分には、細かい網目模様が入っており、木綿を表現したとみられるという。

 9月5日までの午前10時~午後6時(入館は午後5時半まで)、同館3階ギャラリーで。観覧料は一般1千円、高校・大学生は800円、中学生以下無料。8月21日の午後2時~2時半は、1階レクチャールームで学芸員とABSアナウンサーによるトークセッションがある(定員20人)。問い合わせは同館(018・853・8686)。(高橋杏璃)