決勝9回代打、2年前と同じ 高田商の杉山太翼選手

篠原大輔
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(高校野球奈良大会決勝 智弁学園6-4高田商)

 私は29日の決勝で、高田商の13番に注目していた。ちょうど2年前の2019年7月29日にあった、同じ智弁学園との決勝。3番をつけて高田商の1年生で唯一メンバー入りしていたのが、いま3年生で13番の杉山太翼(たいすけ)だったからだ。

 一塁手の控えとして試合前のノックに入り、攻撃時は三塁コーチャー。元気よく仲間に声をかけていた。

 そして九回、2点差に追い上げてさらに2死一、三塁。杉山が慌てて手袋を着けながら一塁ベンチ前に出てきた。「うわ、来た」。私は思わず声が出た。2年前の決勝の出番も、九回の代打だったのだ。

 異様な雰囲気に気持ちが先走ってしまったそうだ。2年前は敵失で出たが、この日は三球三振だった。

 同学年の「出世頭」だった杉山。昨秋は4番を任されていたが、その後はいい結果を出せず、スタメンも少なくなった。この春の段階で野球は高校までと決め、夏にかけた。しかし焦るばかりで上向かない。「チームのためになれることをやろう」と、三塁コーチャーをしながらレギュラー組のサポートに徹した。

 「仲間のおかげでここまで勝ってこられた。でも欲を言えば、自分も打ちたかった。野球を続けたい気持ちもあるんすけど……」

 試合後は応援に来ていた両親にこれまでの感謝を伝え、号泣した。杉山太翼の高校野球が終わった。=敬称略(篠原大輔)