中国大使「対米が日本の全てではない」 講演で米を牽制

鈴木友里子
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 孔鉉佑(コンシュワンユー)・駐日中国大使が30日、都内で開かれたシンポジウムで講演し、「対米関係が日本外交の全てではない」として日本政府が米国寄りの姿勢をとることに釘を刺す一方、新疆ウイグル自治区や香港での人権や自由の問題については中国政府の立場を改めて強調し、米欧を牽制(けんせい)した。

 日本通として知られる孔氏はこの日、鳩山由紀夫元首相らが出席して行われた国際アジア共同体学会のシンポジウム「米中新冷戦と日本の生き方」で、来賓として講演した。

 孔氏は、日中間の人的、経済的な密接な結びつきを強調し、「両国がパートナーにならない理由がどこにあるのか。互いにパートナーであり脅威にはならないことが、双方の政治的コンセンサスだ」と訴えた。

 そのうえで、「日本が戦略的自主性を維持し、中国および米国との関係をバランスよく適切に処理し、中国、日本、米国の前向きなインタラクション(相互作用)を促進するために建設的な役割を果たすことを期待する」と述べ、日中国交正常化50周年を来年に迎えるにあたって「成熟して安定した日中関係の構築」を呼びかけた。

 一方、米欧から批判されている新疆ウイグル自治区の人権をめぐる問題については、「ジェノサイド(集団殺害)という世紀のウソ」という中国政府の立場を改めて強調。香港や新疆ウイグル問題について「米国や西側の一部の人々は民主主義や人権の名目でこれらの問題を政治的に操作し、本当は中国の発展を封じ込めることを狙っている」と主張した。

 新型コロナウイルスの起源をめぐる世界保健機関(WHO)の調査についても、中国はWHOの調査に率先して協力しており「発生源調査を政治化」することは国際社会を分断させると強調した。鈴木友里子