教室が苦手なら来てみない?学校内のフリースクール好評

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上野創
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 学校で学ぶ場所は教室だけと思っていませんか。校舎の中に、子どもが自分のペースで学べる部屋、いわば「学校内のフリースクール」を作る試みがあります。不登校を脱し、学校へ通うようになる子が続出するという取り組みとは――。

 靴を脱いで上がるじゅうたん敷きの部屋には、円形のテーブルやビーズクッションがあり、1人用の机といすが並ぶ脇には、1人の空間を作れるついたてや畳のスペースもある。

 広島県呉市立吉浦中学校の「SSR(スペシャルサポートルーム)」は、教室らしくない雰囲気が特徴だ。

 通う生徒は6~7人で、常時いるのは3~4人。登下校の時間や学習する内容は生徒自身が決め、登校後はまず、担当の吉本かをり先生と、その日の目標や学習の予定を確認する。終日ここで勉強する子もいれば、一部の授業はクラスで受ける子、昼前から来る子、休憩が多めの子もいる。授業のない時間には先生たちが部屋に来て、教えてくれる。

 学習以外では、トランプやホワイトボードへの落書き、おしゃべり、昼寝も。昼食は部屋で一緒に食べる。スイーツ作りや校外遠足、卓球大会なども生徒が企画し、校長の承認を得る。

 「静かだけど暗い雰囲気ではなく居心地が良かった。先生が丁寧に教えてくれて質問もしやすかった」。不登校だったが2年生からSSRに毎日通い、今春、高校に進学した女子生徒はそう話す。

 同学年の別の女子生徒も「私は教室がつらくて人が怖い『病み状態』になったけど、SSRでは本性が出せたし、楽しかった。コロナで休校になり学校に行きたいなあって思った」。

 吉浦中のSSRは今年度で3年目。吉本先生は「校内の先生たちの理解が進み、協力態勢が整ってきた。今後はもっと、生徒のコミュニケーション力を上げる取り組みをできれば」と話す。

「オンライン部活」で仲間づくり

 SSRは広島県教育委員会が2年前、不登校の子どもの支援と不登校の未然防止などを掲げて始めた。初年度は、政令指定市の広島市を除く県内22市町のうち5市町11校だったが、今年度は12市町、計21校(小学校6、中学14、義務教育学校1)へ拡大。「イラスト部」など、学校の枠を超えたSSRの「オンライン部活(クラブ活動)」も始めた。

 特色は次のような点だ。

 目標は教室復帰ではなく社会で生きていく力をつけること▽県教委の予算で教育相談コーディネーターを兼ねる専任の教員を配置▽県の指導主事が週1日、担当するSSRで子どもとやりとりし、教員と協働する▽校内の他の教員、市町教委の主事やスクールカウンセラーらが定期的に情報と意見を交換する――。

 原型は、平川理恵・県教育長が横浜市立中学の校長時代に始めた「校内フリースクール」だ。「いろんな子がいるという前提で、教師の側が柔軟に対応すれば、子どもは学校に来て勉強する。教室での一斉授業でなくてもいいんですよ」と話す。

 県教委の不登校支援センター主査、土屋由紀子さんは「安心できる人と場所に出会わせたい。エネルギーがたまれば、子どもは動き出して学んだり表現したりする」と言う。

 特に重視しているのは「子どもが自らの得意と苦手を知り、自分に合う道を見つけること。そして他人に相談できる力です」と語る。

「少人数で人目が気にならない」

 県のSSRと市の「きらりルーム」の取り組みを並行して進めているのが福山市だ。

 三好雅章・市教育長が横浜市…

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