やまゆり園とパラの距離 めざす「共生社会」、遠い実現

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照屋健
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 「やまゆり園とパラリンピックは無縁です」

 殺傷事件が起きた障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で、聖火リレーの採火式を行う方針が表面化した4月、被害者の家族はこう反対した。真意を聞きたい、と園を訪ねた。

 「重度の知的障害がある息子はパラの選手もわかりません。ここで暮らしている利用者さんは、選手のように頑張ることも難しいんですよ」。事件で負傷した尾野一矢さん(48)の父、剛志さん(77)は言った。

 19人もの死者が出た施設を「祭典」の場にすることが許せない。そもそも、大会と関連づけられても、言葉だけで「共生社会」を掲げても、具体的なプロセスがなければ変わらない、という思いがある。

 園は、山あいにあるJR相模湖駅で降り、バスで10分ほどの場所にある。

 なぜ、都心から離れた場所に施設があるのか。事件が起きた5年前、当時、横浜総局の記者だった自分も取材しながら考えた。

 前回の東京大会があった19…

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