「食えない」「みな億単位の借金」 限界でもがくステージの裏方たち

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定塚遼
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 「エンタメ業界の苦境」と言われ始めて1年半が経った。ステージを支え続ける音響や照明などの裏方の現状を取材した。

 8月下旬の金曜日。舞台音響・照明の国内最大手・共立の、神奈川県厚木市にある倉庫を訪れると、広大なスペースに、音響・照明機材が所狭しと積まれ、外には大型トラックがずらりと並んでいた。「週末前の金曜日は、普段だったらトラックも機材も出払っているんですよ」。共立の市川一弘執行役員はそう嘆く。

「未来が見えない」 若者20人が社を去った

 1966年のビートルズ来日をはじめ、ローリング・ストーンズマイケル・ジャクソンなど、名だたるミュージシャンの公演の多くに関わってきた。300人の社員を抱える業界トップランナーだが、2020年度の売り上げは、前年度比4割減となった。「小さいところでは、会社を畳んだところもある。このまま来年になると業界は限界に近づくと思う」と語る。

 仕事が減っても、社員の雇用を維持するため、倉庫の一部を飲料水などの物流倉庫にするなど、一部業種転換をしながら、生き残りを図っている。

 とはいえ、人材の流出は深刻だ。例年、離職者は数人程度だったが、コロナ禍で20人程度に増えたという。その多くは20代の若手だ。「仕事がなくて自宅待機などになっているうちに、『エンタメ業界の未来が見えない』とやめていく人が多い。頑張って育てて、技術や仕事を覚えて、かなりの戦力になってきたところで、やめてしまう。大打撃です」

 地方では固有の事情もある。鹿児島県で音響・照明などの仕事を請け負う老舗「舞研」は売り上げが7割減になった。多くを占めていたイベントやお祭りなどの仕事が激減している。宇多篤史取締役は「東京などと違って、イベントに出演したり、お店を出したりして、もし感染者が出たら、名前が知れ渡ってしまう。主催者も参加者も、怖くなって取りやめるというケースが多い」と語る。

音響、照明、美術・大道具・・・。分野別の売り上げ減少幅は?

後半では、売り上げの多くを失った企業がどうしてまだ生き残れているのかや、さらなる苦境にあるフリーランスの現状に迫ります。

 危機に瀕(ひん)した「裏方…

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