9年ぶりに離職率が入職率上回る コロナ禍の影響か

山本恭介
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 2020年は労働者全体に占める離職者の割合が、採用された人の割合を9年ぶりに上回ったことが、厚生労働省の調査でわかった。コロナ禍で働きづらくなっていることが改めて裏付けられた。

 厚労省が8月31日に発表した雇用動向調査によると、企業が20年に採用した人は710万人で入職率は13・9%。離職者は727万人で離職率は14・2%だった。入職率が離職率を上回る状況が続いてきたが、東日本大震災があった11年以来、9年ぶりに逆転した。前年比で採用した人は133万人、離職者は58万人それぞれ減り、労働市場全体の縮小もみられる。

 就業形態別でみると、パート以外の労働者の入職率が前年比1・2ポイント減だったのに対しパートは同7ポイント減と下げ幅が大きかった。男女別では男性の同1・8ポイント減に対し、女性は同4・1ポイント減だった。業種別は宿泊・飲食サービスが同10ポイント減で、下げ幅がめだった。

 厚労省は「コロナ禍で個人の離職と就職が抑制された。入職率より離職率が高いということは、失業状態や非労働力人口になった人が出ているということで注視が必要」と分析する。

 リーマン・ショック直後の09年は離職率が16・4%と前年より1・8ポイント上昇したが、コロナ禍の20年は離職率は低下した。休業手当を払って雇用を維持した企業を支援する「雇用調整助成金」などの施策が、離職を抑えた可能性もある。

 コロナ禍の影響はいまも続く。8月31日公表された7月の有効求人倍率季節調整値)は1・15倍で前月より0・02ポイント上昇したが、感染力の強いデルタ株が広がり、求職者が減った影響とみられている。7月の完全失業率(季節調整値)は2・8%で前月比0・1ポイント低下。完全失業者数は190万人で同12万人減った。(山本恭介)

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