元教授さらに不正5400万円か 近畿大調査委が報告書

狩野浩平、茶井祐輝
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 近畿大医学部(大阪府大阪狭山市法医学教室の巽信二・元主任教授(67)=懲戒解雇=が、大学や大阪府警から計約9千万円をだまし取ったなどとして詐欺罪などで起訴された事件をめぐり、近畿大の調査委員会(委員長=藤原尚副学長)は31日、元教授が別に計約5400万円分の不正に関与していたとする中間報告を公表した。不正の総額は1億4千万円を超す見込みになる。今後はチェック体制の強化など再発防止策を取りまとめる方針という。

 元教授による不正の疑惑は3月に発覚した。近畿大は職員や弁護士らでつくる調査委を4月に発足させ、府警や大阪地検の捜査とは別に、司法解剖の検査料や物品購入費など経費の書類を精査し、法医学教室のスタッフや取引業者らへの聞き取りを重ねた。

 詐欺罪は7年で時効になるが、調査委がそれより前までさかのぼって調べたところ、検査料では2012年1月から約3年間に約2060万円、経費では13年4月~14年12月に少なくとも約771万円の不正受給が確認できたという。

 教室の金庫には死体検案書の作成報酬などとして計約2571万円分を受け取ったとする領収書があったが、残っていた現金は約8万円だったという。調査委は差額分が私的流用された可能性が高いとみている。

 調査委は不正が続いた背景として、物品を立て替え払いで購入し、納品の有無を第三者がチェックする仕組みがないなど、態勢面の不備を挙げた。元教授が絶対的な地位にあり、不正に気付きながらも失職を恐れて指摘できなかったと話したスタッフもいたという。

 調査委はこれらの課題を踏まえ、再発防止策の取りまとめを進める。勾留中の元教授への聞き取りは終わっておらず、不正に関する調査も続ける。元教授が府警から不正に詐取したとされる約7226万円については、大学が弁済の手続きを進める方針という。藤原副学長は「透明性があり、信頼される近大をつくっていきたい」と話した。

 事件をめぐっては元教授のほか、部下の元講師(66)=懲戒解雇=も詐欺罪で起訴されている。(狩野浩平、茶井祐輝)