倉敷商前主将、優勝の後輩へ思い託す「心から楽しんで」

構成・中村建太
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 第103回全国高校野球選手権岡山大会(朝日新聞社、県高野連主催)を制し、9年ぶり11回目の夏の甲子園出場を決めた倉敷商。選手らは、「先輩のためにも勝ち上がりたい」と口をそろえる。昨年、同校が出場するはずだった選抜大会は中止となり、夏の選手権大会も中止となった。コロナ禍に左右された前チームの主将、原田将多さん(19)=上武大(群馬)=に、後輩たちに託す思いをリモートインタビューで聞いた。

 岡山大会決勝は、大学野球部の練習終わりにネット(バーチャル高校野球)の生中継で見ました。同点の九回裏無死満塁では、打席に入った主将の山下周太(3年)が良い表情だったので、「打つ」と思いました。2年生が多いチームで、最後に試合を決めたのは3年生。彼らの成長がうれしかった。

 いまのチームが始動した昨秋は正直、夏を勝つには力が足りないと感じていました。昨秋の県大会は準々決勝で敗退。梶山和洋監督(34)から「最低の世代」と言われ、学年間で気持ちがぶつかっていたのも見ていました。

 その頃に比べると、人が変わったように堂々とプレーをしていました。要所を抑えたエースの永野司(3年)はもちろん、頼りないと思っていた山下が「キャプテンの顔」をしていた。「プレーで結果を出せば皆もついてくるんじゃないか」とアドバイスしていたので、それを実践してチームのまとまりを強めてくれたのだと思います。

 昨夏と違って、今回の甲子園は勝てば次の試合がある。本当にうらやましいです。僕たちの代は、コロナ禍で春の選抜と夏の選手権が中止になった。「甲子園交流試合」では仙台育英(宮城)に勝つことができたけれど、1試合限りだった。「本来ならトーナメントで次の試合があるのに」と、どこか燃え切らない思いもありました。

 ただ、その1年も、いま思えば特別な経験でした。春の練習休止明けには、野球ができるありがたみを強く感じた。大会ではなかったけれど、甲子園にも立てた。むしろ恵まれていたと思います。

 そんな僕らから、野球への感謝の気持ちや勝ちへの執念を、後輩たちはしっかり引き継いでくれたと思います。同級生ともよく「自分たちの試合を見ているみたいだよな」と話します。

 甲子園では、まずあの舞台を心から楽しんでほしい。その上で、倉商史上最高となるベスト4に進出し、さらに優勝を目指して欲しい。

 圧倒して勝つのが一番だけれど、甲子園ではそう簡単にはいかないかもしれない。倉商らしく、ビハインドでも終盤に勝ち切る戦いを期待したいです。(構成・中村建太)