夏も体中に貼ったカイロ 生きがい奪われるなら…と決心
遠藤美波
難病のため14年間の引きこもり生活を経験した女性が、阪急百貨店うめだ本店(大阪市北区)で絵本の企画展を開いている。「好きなことを我慢しないで」。柔らかな画風には、そんなメッセージが込められている。
兵庫県の武庫川女子大の4回生だった22歳の春。多田ゆかさん(43)=姫路市=は、トイレの便器の中が真っ赤に染まっているのに驚いた。
1カ月経っても治らない。近所の診療所から紹介された総合病院で、難病の潰瘍(かいよう)性大腸炎と診断された。
水に触れたり風にあたったりするだけで刺激になり、トイレに駆け込んだ。食べ物を口にするたびにおなかが痛くなり、大好きだったすき焼きやハンバーグが怖い物に思えた。
外に出るのが怖くなり、1日の大半を家で寝て過ごすようになった。
大学卒業後に結婚。夫が姫路市内の実家の寺を継ぐのに合わせて、夫の家族と寺で暮らすように。
だが夏でも体中にカイロを貼り、ご飯を作るのもままならない姿に、夫の家族との関係もぎくしゃくしていった。
転機は35歳のとき。長期のステロイド剤投与に体が悲鳴をあげていた頃、医師からこう言われた。
「大腸を全摘出してストーマ…