なぜあん馬を続けるのか 亀山耕平、五輪の「夢の中」で見つけた答え

有料会員記事体操

潮智史
[PR]

 息を5秒吸って、10秒はく。いつもの呼吸法によるルーティンを終えて、最終演技者の亀山耕平はあん馬のポメル(持ち手)に手をかけた。

 体操男子、種目別あん馬の決勝。この時点で首位、ウィットロックの得点は15・583。予選では6・5だった難度点を6・8に上げた演技を用意していた。

 序盤のF難度ブスナリを成功させ、前半のリズムは良かった。しかし、後半に演技がよどむ。足が割れ、旋回は失速。用意した構成は演じきったが、出来栄えを評価するEスコアは伸びなかった。

 「試合で出たのが実力……。まあ、しょうがない」。目を赤くしながら、でも表情は晴れていた。

 世界のトップに立ったのは8年前にさかのぼる。初めて出場した2013年世界選手権アントワープ(ベルギー)大会、同じ種目別あん馬でいきなり優勝した。しかし、24歳で刻んだ快挙が心と体を縛った。

 「世界一になって、もうやることないじゃんと。次のリオ五輪も行っておいた方がいいんだろうな、という程度の気持ちだった」

 「優勝して、自分の能力のなさに気づけた。なぜ勝てたのかがわからず、言葉にもできなかった」

 そして、3年後、リオ五輪の出場権を逃した。

 現役引退を考えたが、所属先である徳洲会米田功監督に「もったいないやろ」と引き留められた。もやもやと過ごすなかで、答えを見つけたのはその年の暮れのことだ。

 翌年春に結婚する妻と暮らし…

この記事は有料会員記事です。残り732文字有料会員になると続きをお読みいただけます。