「拾った命」だからこそ オリパラ向けロボ開発者の思い
橋田正城
東京五輪・パラリンピックに向けて改良を重ねてきた案内用ロボットが、ふだんの夏よりも人気の少ない成田空港で、静かに「お披露目」に臨んでいる。来日するはずだった大勢の海外客へのPRはかなわなかったが、開発者は吹っ切れた表情で未来に目を向ける。その心中にある思いとは――。
近くの人をセンサーで認識すると、そちらを向いてあいさつをする。テレビ会議システムで人間のスタッフが遠隔で道案内でき、タッチパネル機能をオンにすれば様々な情報にアクセスできる。巡回中のカメラ映像を警備にも使える――。
7月下旬から8月初旬まで成田空港で試験運用されている、そんなパナソニックの「HOSPI(ホスピー)」は、もともとは病院で看護師や検査技師の代わりに薬や検体を運ぶロボットだ。京大医学部付属病院など、国内外の11病院で27台が稼働している。オリパラを機に、空港や商業施設での案内役に活用しようと、新型機の開発が進められてきた。
企画したのはパナソニックの黒川崇裕(たかひろ)さん(51)。「オリパラの日本開催は、新しい技術が広まるチャンスになる」と、東京大会をロボットとの共生社会をつくる好機と考えてきた。
東工大大学院でロボットの制…